2005/2/15 年金博士の独り言
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年金博士の独り言
北村 庄吾氏 (株)ブレインコンサルティングオフィス 代表取締役


 年金博士の独り言・・・年金額据え置きの意味
 厚生労働省が17年4月からの国民年金の年金額を794,500円とし、平成16年と同額に据え置くことを発表しました。消費者物価が0%水準だったためです。
 2年続けて物価下落と共に年金額は引き下げられてきましたので、据え置きというと得をしたような気分にはなりますが、この金額自体に満足している人は少ないでしょう。
 実は、平成17年度だけではなく、平成18年以降も当分の間、年金額は794,500円のままです。
 これを物価スライド特例措置といいます。平成16年の年金改正の一つです。
 平成11年から平成16年までの5年間に物価は累計で2.9%も下落しました。物価が下落すれば年金額もそれにスライドさせて下落させるのが「物価スライド制」ですが、平成12年から14年までの3年間は年金額を引き下げずに据え置きにしました。3年間の累積下落率1.7%です。
 その後も物価は下落し続けたため、「もう限界」ということで、平成15年、16年は年金額をマイナス改定しました。この2年間で1.2%年金額が下がりました。
 しかし、5年累積の2.9%から1.2%は下落させましたが、3年間の据え置き分の累積下落率1.7%は解消されていません。そこで、昨年の年金改正で、1.7%を取り戻すまで、当分の間は物価が上昇しても年金額を据え置く特例措置を設けたのです。
 今後も、低成長が続くと、累積の物価上昇率1.7%に達するまで年金額は据え置かれることになります。
 これが年金額据え置きの「深い意味」です。政権維持のために、年金額を据え置いた「ツケ」を、これから支払わされるのです。

 <関連して>
 ● ドイツの首相が年金の70歳支給開始も検討 ●
 とニュースで伝えられました。なにせドイツは世界恐慌依頼の高水準の失業者数です。日本と同じように平成16年に年金改正をしたドイツは、未曾有の不況の中でさらに年金改正が必要になってきています。日本も平成16年改正で70歳の支給開始もにらんだ法律になっています。
 今後、少子化と景気が改善されなければ5年後の年金改正を待つまでもなく再び改正が必要になってくるかもしれません。

 <関連して>
 平成16年の総務省家計調査では、60歳以上無職世帯の夫婦2人の必要支出は28万円。
 このなかで公的年金は約20万円という状況です。今後、若い世代ほど自分年金を作らないと、ハッピーリタイアは出来ない状況です。



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