2005/10/17 基準地価発表
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基準地価発表
大城 嗣博氏 アセットコンサルティングネットワーク(有)代表取締役


先日、基準地標準価格が発表されました。東京都は住宅地も商業地も複数の地点で上昇が見られましたが、皆様の近隣ではいかがだったでしょうか。

さて、公官庁が発表する土地の価格には、基準地標準価格以外にも公示価格や路線価などが有ります。これらの価格が発表されるたびに、「今年は上がった又は下がったけれども今後の地価の見通しはどうでしょうか」、という話題を数多く受けます。そこで今回はこの点について触れましょう。

まず、これらの価格は対象地域の「標準的画地」についての価格になります。標準的画地とは、地積(大きさ)や地型、間口や奥行き、接道状況などが買主の理想に合っておりその地域で一番使い易い画地とお考え下さい。そのため、単価(1・・1坪)あたりの価格は、対象地域での最高額を示す事になります。しかも算定地点に建物が建っていても更地であると仮定されて価格が付されます。

ここまで説明を加えると勘の良い方であれば、これらの数字にはかなり現実離れした側面が有る事をお気付きになるはずです。というのも、そんなに「理想的な更地」は存在していないからです。実際の土地は、狭過ぎたり中途半端に広かったり、道路付けが悪かったり、高低差が大きかったり…等々、物理的な面でも理想的ではない土地がほとんどです。また、借家権負担や借地権負担があったり、近隣との境界が未確定であったり、更地化するのに多大な解体費用が必要となる…等々、現実的には個別不動産が各々の事情を抱えていますから、あくまでも個別で考える必要が有ると言えます。

また、標準的画地の考え方も対象エリアによって大きく異なります。一戸建住宅用地なのか、マンション用地なのか、オフィスビル用地なのか、店舗用地なのか、はたまた工場用地・別荘地なのか…等々で異なります。さらに同じ一戸建て用地であったとしても、20坪が理想的なエリアも有りますし50坪や100坪が理想的なエリアも有ります。結論的には物件毎に異なりますね、という回答になるのでしょう。

今回、首都圏の基準地価は、容積率が高いようなマンション用地として適している地域や、富裕層が一戸建てを購入したいような地域、新路線が開通したため今後の開発期待値が含まれているような地域では上昇が見られています。反面、購入意欲が湧き難い住宅地や、商売が成り立たなくなった商業地等は、やはり価格を下げているのが現状です。マクロ的に価格が上昇したとしても、個別要因を分析しなければ今後の見通しは判らないというのが結論でしょう。

地価が気になる方々とは、これから不動産を購入又は売却しようと考えている方、もしくは土地富裕層になると考えられます。とすれば、やはり個別要因が大きく影響しますので、その個別要因に関する分析を行う必要が有りますし、更には不動産以外の資産状況について総合的に分析を行う事の方が大切と言えるかもしれません。

基準地価という不動産の切口から資産全体への総合的提案に繋がると理想的ですね。




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