2005/12/20 株式投資は“バクチ”か?(1) |
株式投資は“バクチ”か?(1) 梅本 洋一氏 (株)アセットマネジメント・ラボラトリー |
■ 株式投資は“バクチ”か?
■ 「貸した、託した」お金が返る“確率 このような基本的構造の資金運用で時々「貸した、託した」お金が返らないという不幸が起こります。 例えば、預金していた、あるいは保険料を納めていた金融機関が破綻する可能性があります。確率は低いが起っていることです。また、債券を発行する企業や国が破綻することもあります。アルゼンチンのように国が破綻するケースは稀としても、ダイエー、マイカルなどのように事業会社でそれが起こる確率はぐっと高くなります。 株式の場合はどうでしょう? 株式を発行する会社が倒産した、あるいは業績低迷で株価が長期間”塩漬け“になった、買値よりも安く売却した等の話は日常茶飯事です。このように株式に「託した」お金が返らない確率はさらに高いと思うことでしょう。 ■ トヨタの100年後は? 現在、日本で最も信用度の高い企業といえばトヨタではないでしょうか? 世界の自動車産業の中でもトップに並び、純利益は1兆円、手元金融資産は数兆円、信用格付けはAAAを誇る優良企業です。 では、「託した」お金が報われる確率の最も高い株式投資とは、トヨタのような企業の株式を買うことなのでしょうか? 答えは“NO”です。なぜなら、トヨタの10年後、30年後、50年後、100年後の株価など誰にもわからないからです。上手くいけば株式投資の成果は何万倍かもしれませんが、最悪の場合は倒産して”紙くず”になります。 例えば、100年前の1900年優良企業は鉄道会社でした、米国でも英国でも株式市場の時価総額(*)の50%以上をしめた”鉄道産業“は2000年の株式市場の時価総額0.3%でしかありません。このような確率からみればトヨタ株式への投資すら「損するか得するかわからない、一か八かの”バクチ”」のような行為なのです。 (* 全上場企業の株式の価値の合計) ■ 株式投資は手を染めてはいけない“バクチ”なのか? では、トヨタ株式への投資すら厳密には損するかもしれないのですから、やはり、株式投資は運任せの“バクチ”なのでしょうか? 答えは“NO”なのです。次回はなぜ株式投資で利益が期待できるといえるのかについて詳しく考えてみたいと思います。 |