2005/12/20 株式投資は“バクチ”か?(1)
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株式投資は“バクチ”か?(1)
梅本 洋一氏 (株)アセットマネジメント・ラボラトリー


 株式投資は“バクチ”か?
こんにちはアセットマネジメント・ラボラトリーの梅本です。さて、先日ご相談にこられたお客様は「株式投資は損するか得するかわからない、一か八かの”バクチ”のようで恐ろしい」とおっしゃいました。 今回は「株式投資は“バクチ”か?」について一緒に考えたいと思います。

 預貯金、債券、株式 全ての資金運用の本質はお金の「貸し借り」
あらゆる資金運用・金融取引は「自分のお金を他人に託して殖やす行為」であり、「他人から託された資金を自らの事業に活用し利益で”報いる“行為」で成り立っています。
例えば、個人が預けた預金・債券は利息や満期元本を期待できる「資産」であるのに対し、預けられた金融機関や企業・政府にとっては金利や満期元本を返済しなければいけない「負債」です。また、個人が銀行から借りた住宅ローンは返済すべき「負債」であるのに対し、銀行側から見れば「資産」です。
同様に、株式もリターンを期待できるはずの「資産」あると同時に、企業にとっては報いるべき「資本コスト」になります。
このように全ての資金運用・金融取引は『貸し借り』の原理で成り立っています。

資産運用の「貸し借り」の原理
資産(貸し手) 負債(借り手)
預貯金 銀行・郵便局
債券 国・企業
株式 企業
不動産
(不動産や金は借り手を探したり、より高く買ってくれる人を見つけたりしないと収益を生まない“物”であるといえます)

■ 「貸した、託した」お金が返る“確率
このような基本的構造の資金運用で時々「貸した、託した」お金が返らないという不幸が起こります。
例えば、預金していた、あるいは保険料を納めていた金融機関が破綻する可能性があります。確率は低いが起っていることです。また、債券を発行する企業や国が破綻することもあります。アルゼンチンのように国が破綻するケースは稀としても、ダイエー、マイカルなどのように事業会社でそれが起こる確率はぐっと高くなります。
株式の場合はどうでしょう? 株式を発行する会社が倒産した、あるいは業績低迷で株価が長期間”塩漬け“になった、買値よりも安く売却した等の話は日常茶飯事です。このように株式に「託した」お金が返らない確率はさらに高いと思うことでしょう。

■ トヨタの100年後は?
現在、日本で最も信用度の高い企業といえばトヨタではないでしょうか? 世界の自動車産業の中でもトップに並び、純利益は1兆円、手元金融資産は数兆円、信用格付けはAAAを誇る優良企業です。
では、「託した」お金が報われる確率の最も高い株式投資とは、トヨタのような企業の株式を買うことなのでしょうか? 答えは“NO”です。なぜなら、トヨタの10年後、30年後、50年後、100年後の株価など誰にもわからないからです。上手くいけば株式投資の成果は何万倍かもしれませんが、最悪の場合は倒産して”紙くず”になります。
例えば、100年前の1900年優良企業は鉄道会社でした、米国でも英国でも株式市場の時価総額(*)の50%以上をしめた”鉄道産業“は2000年の株式市場の時価総額0.3%でしかありません。このような確率からみればトヨタ株式への投資すら「損するか得するかわからない、一か八かの”バクチ”」のような行為なのです。
(* 全上場企業の株式の価値の合計)

■ 株式投資は手を染めてはいけない“バクチ”なのか?
では、トヨタ株式への投資すら厳密には損するかもしれないのですから、やはり、株式投資は運任せの“バクチ”なのでしょうか? 答えは“NO”なのです。次回はなぜ株式投資で利益が期待できるといえるのかについて詳しく考えてみたいと思います。



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