2006/2/23 株式投資は“バクチ”か?(2)
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株式投資は“バクチ”か?(2)
梅本 洋一氏 (株)アセットマネジメント・ラボラトリー


 株式投資は“バクチ”か?
こんにちはアセットマネジメント・ラボラトリーの梅本です。前回は(1)預貯金、債券、株式 全ての資金運用の本質はお金の「貸し借り」、(2)“「貸した、託した」お金が返る“確率で考えた場合のトヨタ株投資の成功/失敗確率についてみてみました。優良株投資すら厳密には儲かるか損するか将来のことはわからないのですから、やはり、株式投資は運任せの“バクチ”なのでしょうか? 実は株式投資で儲ける確率をきわめて高くすることが出来るのです。そのためには少しだけ「発想の転換」が必要ですが・・・ 今回はなぜ株式投資で利益が期待できるといえるのかについて詳しく考えてみたいと思います。

 ではなぜ、株式というものが存在するのか?
株式が損するか得するか、一か八かの”バクチ”のようなものであれば、株式会社や株式市場はなぜ存在するのでしょうか?大切なお金をカジノでギャンブルするように”賭ける“しか殖やすチャンスはないのでしょうか?それ以外の人は不幸なことが起こる確率の低い預貯金や債券に甘んじるしかないのでしょうか?
答えは“NO”です。前述のように個々の企業の株式をみれば株式は確率の測定できない”一か八かのバクチ”ですが、株式市場全体(あるいは多くの企業の株式を保有するファンド)を考えた場合には株式投資の確率は全く違ったものになります。
100年間の例で言えば、鉄道会社の栄華だった1900年時点、米国でも英国でも株式市場の時価総額の、わずか数%、あるいは存在すらしていなかった(誰も予想してなかった)情報テクノロジー、医薬、小売、石油・ガスなどの株式価値の合計は2000年時点での株式市場の時価総額の50%以上を占めています。しかも、様々な企業の栄枯盛衰をすべて合計したものである株式市場全体の価値は16,000倍以上にもなっています。
つまり、株式市場全体(あるいは多くの企業の株式を保有するファンド)で見た場合、「託したお金が利益を生む」という資金運用の「貸し借り」の原理は機能しているのです。
(* 全上場企業の株式の価値の合計)

■ 「木よりも、森をみる」高確率の株式投資
もちろん、元本保証や満期の約束のない株式は”価格変動“が最も大きいことは誰でも知っていることです。だからこそ相当高い収益が期待できないと誰も株式に投資しようとする人はいないはずです。つまり、”価格変動“は大きい分、より大きいな利益を株式が生まないならば、株式会社も株式市場も世の中に存在しないはずなのです。
「木よりも、森をみる」株式投資、すなわち、個々の企業の株でなく株式市場全体で見た場合、第一次世界大戦、大恐慌、第二次世界大戦、オイルショック等、どんなに大きく値下がりしても、どんなに長く低迷しても結局、株式市場は高値を更新してきました。
もちろん、今後の株式市場の収益は過去の平均値よりも高いのか低いのかはわかりませんが、「貸し借り」の原理が世界の金融・経済の屋台骨を支え続けるという前提に異論がなければ「森を見る」株式投資は”負ける確率のきわめて低いゲーム“であるといえます。(ちょっと値下がりを辛抱できるだけの時間的、経済的に余裕の資金であることが前提です) このような原理原則の「縮図」を投資プランにおいてそのまま実行すれば、株式も含めた資産運用はもはや“バクチ”ではなく、最終的なリターンがプラスであろうことは用意に想像できると思います。

100年間での世界全体とG7の株式市場の収益率(1900年―2000年)
  収益率(年率) 1900年の元本 1 の投資効果
世界全体 9.2% 6,979倍
日本 12.5% 146,398倍
米国 10.1% 16,797倍
英国 10.1% 16,160倍
カナダ 9.7% 11,635倍
フランス 12.1% 100,700倍
ドイツ 9.7% 36,350倍
イタリア 12.0% 94,368倍

今回の事例、「木よりも、森をみる」高確率の株式投資は、経済、金融、資産運用をマクロで俯瞰すると、「いわれてみればそうだよな」といういたって常識的な考え方です。しかしながら、われわれ庶民の日常の株式投資に対する考え方・行動は、このような事実や常識で株式投資を見つめずに、“自信過剰のギャンブラー”もしくは“必要以上の臆病者”の両極端に振れがちではないでしょうか?
  そんな時は「株式市場全体の平均リターンは最終的にプラスでなければ、株式も株式会社も存在しないはずだ」と言うことを思い出して、広く分散された株式ポートフォリオ(ファンド等)での資金運用をお試しください。そうすれば、もう株式投資は“バクチ”ではありません。



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