2006/2/23 第3回 「不動産有効活用と保険提案の接点」
メルマガアーカイブTOPに戻る



第3回 「不動産有効活用と保険提案の接点」
大城 嗣博氏 アセットコンサルティングネットワーク(有)代表取締役


 顧客が「賃貸物件建築の提案を受けている」というケースは有りませんか。今回は賃貸物件建築の話題が出た場合、保険提案の絶好の機会と成り得る点についてお話しましょう。

 顧客が有効活用提案を受けている理由は相続設計の一環で、しかも評価引下げ対策と断定して差し支え無いでしょう。この場合に保険提案に結び付けるスタンスとしては、有効活用提案と「競合」させるケースと「協合」させるケースが有ります。

 まず前者の「競合」させるケースでは、有効活用メリットは「保険商品でも代替可能」である点と、有効活用には「大きなデメリットが有る」点を提示する必要が有ります。メリットは「収益性向上」と「評価引下げ」の2点ですが、この2点は金融商品を組合わせれば充分にカバー可能ですね。デメリットは不動産流動性が著しく低下するため売りたい時期や値段で売り難い、遺産分割で分け難いという点です。不動産流動性を下げ賃貸経営リスクを背負い、場合により負債返済リスクをも負う点を強調できれば良いでしょう。

 後者の「協合」させるケースでは、有効活用メリットとして「収益性が向上」するためその分を支払原資に充てて12条非課税枠、家賃収入の贈与、中期修繕費の積立、将来的保険解約益と建物解体費用・簿価除却損との組合せ等々、副次的に保険の必要性を付け加える事が出来れば充分です。基本的に不動産収入は長期安定的収入ですから、長期安定的な支払原資が確保出来ます。キチンとした保険必要性の提示で顧客は充分納得します。そのためには可能な限り有効活用による「収益力の最大化を図りたい」ところです。

 各ハウスメーカーや工務店には構造や工法等について得意・不得意が有り、更に営業担当者は建築受注までが主業務なので現実的な賃貸経営を知らないケースも多く、顧客最善の提案が出来ていない事例が沢山あります。そこで保険担当者としては有効活用の企画段階から関わり複数の建築会社や建築プラン等についてコンペを行う事で、顧客最善の提案をお手伝いし、収益最大化を図れば良い訳です。

 結論的に、賃貸物件建築の提案を受けているという事実は、「それなりの資産規模が有るため相続設計と収益向上対策が必要」という事実の裏返しです。この点に気が付けば建築に繋がる場合でも繋がらない場合でも、保険ニーズが高くまた保険料原資も調達できる可能性が高い事をご理解頂けるでしょう。顧客としては不動産活用を保険業界の方に相談しても無用な保険売込を受けないと安心していますから、これらの密接な結び付きにアンテナを張る事で比較的容易に相談を受ける事が出来ます。

 建築や不動産営業担当者よりも、保険担当者の方が顧客にとって良い提案(提案できる人の紹介)ができれば、顧客信頼度は相当向上するはずです。元々潜在的に保険ニーズは存在している訳ですから、信頼が向上すればご自身の保険も提案し易くなるものです。

 なぜなら、賃貸物件所有者も保険加入者も同一人物であり、業界別の縦割提案こそがナンセンスだからです。分野を超えた横断的提案こそが、顧客が望んでいる内容でしょう。



PAGE TOP