■ (1)複利の力
複利とは『得られた利益を再投資することにより、そこから更なる利益を生み出すこと』です。 かのアインシュタイン博士は『複利の発見は20世紀最大の発見である』と言っています。
年5%の運用をした場合
|
はじめ
|
10年後
|
20年後
|
30年後
|
100万円
|
163万円
|
265万円
|
432万円
|
10年間の増加金額
|
63万円
|
102万円
|
167万円
|
同じ投資期間でも生み出されていく収益が増加していくことが分かります。
先ほどのAさん、Bさんの例で言えば、複利の効果をAさんほど享受していないBさんがAさんと同じ成果を出すためには約12万円の積立をする必要があります。
余談ですが最近流行の『毎月分配型ファンド』は、毎月の定期的な分配金が必要でない方にとっては、この複利の効果を放棄するもので長期的には莫大な機会損出となります。
■(2)高い収益を狙える
現代投資理論の重要な原則のひとつに、リスクが大きいものほど大きなリターンが期待できる、というものがあります。ここで言うリスクは、表か裏か、白か黒か、といった当たれば大きいが失敗するとゼロになる、というものではなく、値段(価格)の変動の度合のことです。
保有期間
|
最大
|
最小
|
平均
|
1年
|
141.5
|
△46.6
|
12.6
|
5年
|
70.2
|
△24.2
|
12.8
|
10年
|
29.8
|
△7.7
|
12.6
|
15年
|
19.2
|
△1.3
|
11.6
|
20年
|
17.7
|
2.9
|
11.8
|
25年
|
17.2
|
4.2
|
11.6
|
この表は、1949年5月から2001年4月までの日経平均株価を各期間保有した場合の年率換算リターンの最大・最小・平均を表したものです。保有期間を長くすることでリターンのぶれが安定化していくことが分かります。
つまり、株式のようにリスク(価格の変動の幅)が大きいものであっても長期間保有することで損をする確率は少なくなるということです。
Aさん、Bさんの場合、Bさんであっても20年の投資期間がありますから十分にリスク資産を保有することで高い収益を安心して狙うことができますが、仮に投資期間が5年しかないような場合は価格変動が少ないが期待収益も低い債券や預金に投資せざるを得ません。
今回は触れませんが、さらに国際的な分散投資をすることでより安定性が得られることは言うまでもありません。
■(3)ドルコスト平均法(定時定額買付)
上記@、Aのことがよく理解できてもやはり価格の変動がある株式のような資産に投資をすることをためらう方もいらっしゃいます。
価格の変動にかかわりなく毎月といったように定期的に定額を買い増していく投資方法をドルコスト平均法といいます(通貨のドルとは関係ありません)。
値動きがある金融商品(例えば株式投資信託など)に投資をする場合、一度にすべての資金を投じると、タイミングによっては非常に高い値段で買い付けてしまう可能性があります。
ドルコスト平均法では、時価に関係なく同じ商品を定期的に一定の金額を買い付けることにより価格が安いときには買付口数が多くなり、価格が高いときには買付口数が少なくなります。その結果、平均購入単価を低く抑える効果が期待できます。
ドルコスト平均法による買付
|
|
1ヶ月目
|
2ヶ月目
|
3ヶ月目
|
4ヶ月目
|
5ヶ月目
|
価格
|
10,000
|
12,500
|
10,000
|
7,50
|
10,000
|
購入金額
|
100,000
|
100,000
|
100,000
|
100,000
|
100,000
|
購入口数
|
10
|
8
|
10
|
13
|
10
|
保有口数
|
10
|
18
|
28
|
41
|
51
|
累計購入金額
|
100,000
|
200,000
|
300,000
|
400,000
|
500,000
|
保有資産額
|
100,000
|
225,000
|
280,000
|
310,000
|
513,333
|
損益
|
0
|
25,000
|
△20,000
|
△90,000
|
13,333
|
50万円の一括買付の例
|
|
1ヶ月目
|
2ヶ月目
|
3ヶ月目
|
4ヶ月目
|
5ヶ月目
|
価格
|
10,000
|
12,500
|
10,000
|
7,50
|
10,000
|
購入金額
|
500,000
|
0
|
0
|
0
|
0
|
購入口数
|
50
|
0
|
0
|
0
|
0
|
保有口数
|
50
|
50
|
50
|
50
|
50
|
累計購入金額
|
500,000
|
500,000
|
500,000
|
500,000
|
500,000
|
保有資産額
|
500,000
|
625,000
|
500,000
|
375,000
|
500,000
|
損益
|
0
|
125,000
|
0
|
△125,000
|
0
|
まったく同じ投資金額(合計50万円)と価格の推移ですが、一括買付では保有口数の合計が50口ですが、ドルコスト平均法では51.33口になっています。 また、5ヶ月目の損益は、一括購入では『0』ですが、ドルコスト平均法では『+13,333』になっています。さらに、最大と最小の損益額もドルコスト平均法の方が少なくなっていることが分かります。
つまり価格変動の影響を受けにくくしながら期待できる収益率が高い商品を購入することができるわけです。
|