2007/4/4 国際分散投資をする
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国際分散投資をする
中澤 宏紀氏 (株)アセットマネジメント・ラボラトリー 代表取締役


「プロフェッショナルはアドリブをしない」

これは欧米の営業研修で必ずでてくるフレーズです。



『実際に何を買ったらよいかよくわからない』

皆様からいただくご質問の一つです。

実際、銀行や証券会社のホームページを見ても沢山のおすすめ商品があります。

どのような商品をどんな買い方をすればいいのでしょうか?



■グラフ1
グラフ1は1984年から2004年までの間に日本株式(東証1部の全銘柄を買うとする)に1年間投資をした場合の投資をスタートした月ごとの年間収益率を表したものです。

はじめた月によって大きくパフォーマンスが違ってくることがわかります。

240回中、マイナスだったのは110回で、全期間の平均の収益率は4.19%でした。

また、最もよい月に投資をした場合は1年間で61.66%も殖えたわけです。

一方、最も悪い月に投資をした場合は△42.31%でした。

いつが山でいつが谷かをズバッと予想することができれば、変動率が大きいので短期間で資産を殖やすことができますが、予想が当たらないと大きな痛手を負うこともあります。

 



■グラフ2

グラフ2は同様に外国債券に投資をした場合を示しています。

○○ソブリンファンド、●●高格付け債ファンドなどの商品をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、そのような商品はこのような価格変動の特徴を持っているわけです。

240回中、1年後にマイナスだったのは84回、平均の収益率は5.50%最高のリターンは39.00%、最低のリターンは△22.81%でした


外国の高格付けの国債というと比較的安定している印象がありますが、

「思ったより価格変動の幅が大きいな!」

とお感じの方も多いのではないでしょうか?

銀行などでは高齢者を中心に毎月分配型の外国債券ファンドをとても多く販売をしていますが、このような価格変動を理解していただいた上で販売をしているか少し心配になります。



■グラフ3


グラフ3も同じグラフですが、投資対象を日本株式、外国株式、日本債券、外国債券の4つの資産(25%づつ)に、いわゆる分散投資をしたケースを表しています。

グラフの山・谷は相変わらずありますが、山・谷の大きさは日本株式や外国債券単独の場合よりも小さくなっていることがわかります。

マイナス回数も76回と少なくなっています。

20年間の平均のリターンは5.84%、最大リターンは33.04%、最小リターンは△12.31%となっています。



 
平均リターン
最大リターン
最小リターン
マイナス回数
日本株式
4.19%
61.66%
△42.31%
110回
外国債券
5.50%
39.00%
△22.81%
84回
4資産分散
5.84%
33.04%
△12.31%
76回

 

仮に日本株式や外国債券に単独で投資をすると毎年の状況によって成果に大きな差が出てきます。

すこしタイミングが悪ければ、買ったとたんに2割や3割は値下がりすることがあるわけです。

そのような商品を買うわけですから株価の動向や為替の動向が気になってくるのは当然でしょう。

しかしながら、マーケットの動向が気になっても、それに費やす十分な時間や十分な情報がない、というのも現実ではないでしょうか。

さらに言えば、弊社コラム『資産運用の常識・非常識』にもありますが、『プロであってもマーケット予想を当て続けることは非常に困難』 なのですからドクターのようにお忙しい方にとってはなおさらのことでしょう。


ところがまったく同じ時期にもかかわらず主だった資産(この場合は国内外の債券と株式)すべてに投資をしている方が価格の変動度合が小さくなっています。

ここで大切なのは変動の度合が少なくなったのにもかかわらず平均リターンが落ちていない、という点です。

通常は価格変動が小さなものを選ぶと当然リターンも下がりますが、様々な資産に分散をして投資をしたときに限ってはリターンを犠牲にすることなくリスク(価格変動の度合)を下げることができるのです。

これはノーベル経済学賞を受賞したモダンポートフォリオ理論の大切なポイントで、世界中の機関投資家(資産運用のプロ)が当然のこととして採用しているやり方なのです。

当コラムは、投資に対する考え方を示したものであり、具体的な投資商品の購入や売却を推奨するものではありません。実際のご投資に当たってはご自身のご判断でされるようお願いいたします。また、当コラムに記載されている情報の正確性についてはできる限り万全をつくしていますが、その正確性を保証するものではありません。個別の投資商品については別途詳細を記載した資料(目論見書等)をご覧ください。


いかがだったでしょうか?

国際分散投資につきまして、ご理解いただけましたでしょうか?



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