2007/9/14 資産管理のための3つのお財布
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資産管理のための3つのお財布
中澤 宏紀氏 (株)アセットマネジメント・ラボラトリー 代表取締役


投資について相談したい

『他のお客さまはいくらぐらいやっているの?』。先日あるお客さまとのお話の中で出た質問です。

実は日ごろのお
客様とのお話の中でも意外と多く出る質問です。

勿論、本当に他のお客様がいくらやっているかを知りたいわけではないですよね。

ご自分の収入や資産の状況であればどのぐらいの金額なら投資可能なのか、を確認したいのだと思いますが、もしかするとこのことが将来の資産形成にとって最も影響を与える可能性が高いかもしれません。



皆さんは米国フィデリティ社の『マゼランファンド』という名前のファンドをご存知ですか?

このファンドは世界中のファンドの中でも歴史的にも最も有名なファンドの一つです。

設定当初の1963年に投資した1万ドルは1999年末には

約1700万ドル(なんと1700倍)にもなったファンド

なのです。特に1980年〜92年の間は年間複利収益率29%という驚異的な運用成績を記録しました。


しかしながら、このファンドの保有者の7割強の方が損をしていたというのです。

「えっ、どうして?1700倍にもなったファンドなんでしょう?」と驚かれますよね?

理由は簡単です。

保有者の多くは一時的な下落時にパニックに陥ったり、また、我慢しきれず売却してしまったからです。
ファンドの平均的な保有期間はわずか7ヶ月だったそうです。

『投資をするに当り多くのお客様が『どの商品(銘柄)がいいですか?』、

『今は始めるのにいい時期ですか?』


とおっしゃいます。マゼランファンドの保有者はこの2つの関心ごと(銘柄選択とタイミング)を見事にクリアしていたにもかかわらず実際にはその成果を得ることができなかったのです。

このような失敗を避けるため、また、投資の成果を確実に得るために私は

3つのお財布

で資金管理をすることをお勧めします。

使うお金を入れるお財布です。
半年から1年分の生活費と2年以内に使うことが決まっているお金を入れます。
万一、病気や怪我で働けなくなっても当面の間はご家族の生活に影響が出ないようにしておくためのお財布です。






2年〜5年ぐらいの間に使う予定がある資金を入れるお財布です。
例えば3年後に受験を控えているお子様をお持ちの方にとってはとても大切なお財布になります。






概ね5年以上使わない資金を入れるお財布です。
つまり、財布(1)と財布(2)に入れるお金を除いた全ての資金がここに当てはまります。


各お財布の特徴と適する金融商品

 
資金の性格
適切な商品
いつでも必要な
金額がすぐに使える
普通預金・定期預金・MRF
特定の時期に
間違いなく使える
国債
使う時期がくるまで
じっくり殖やす
投資信託などを活用した
国際分散投資
もし前述のマゼランファンドの保有者がこのように資金を管理していたらどうだったでしょうか?

仮に一時的な低迷があってもすぐに使うお金ではないのでじっくりと投資の成果が出るまで待つことができたわけです。
■お財布に入れる順番の決め方

それぞれのお財布に入れる金額をどのような順番で決めるかは、とても大切な問題です。

まず財布(3)の金額を決めて残りは財布(1)においておくという順番で決める方が多いのですが、

実はこの順番を逆にするのが効果的な方法なんです。

なぜなら、近い時期に使うお金と将来使うお金では、当たり前のことですが近い時期に使うお金のほうがより正確に把握できるからです。

今週末の旅行の費用はほぼ正確に予想できますが、来年の夏休みの旅行の費用はまだはっきりしませんよね?
ましてや10年先のことなんて見当がつくはずがありません。

同じように財布(1)に入れるべき金額は概ねはっきりしていますし、財布(2)についても見当はつきます。


【ケーススタディ】

毎月の生活費:50万円 ⇒ に500万円(10か月分の生活費)

高校1年生の子供の大学進学資金:500万円 ⇒  に500万円


保有金融資産総額:3000万円 ⇒  に2000万円


財布(3)が多い、とお感じになる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかしながら
財布(3)(いわゆる運用資金)を多くすることで資産全体の利回りが上がる、という大きなメリットが生じます。

えば2000万円を4%で運用すると80万円の収益がありますが、
500万円で80万円の収益を得ようとすると16%の利回りが必要になります。

当然ですが、前者のやり方のほうが安全で、かつ達成可能性が高いですよね。
『財布(3)に入れるほど余裕はないよ』

とお考えになるお客様もいらっしゃいますよね。

このような場合は少額で少しづつ、今の生活や計画に無理が出ないように財布(3)を膨らませていくような方法がございます。

それが積立投資です。


まとめ

今回のお話の重要ポイントは、『1年に1度程度は、それぞれの財布の状態を確認すること』です。

まず見るのは財布(1)です。
生活規模や短期的な計画に変更が無いかを確認し、もし基準となる金額(生活費の6ヶ月〜1年分+2年以内で使うお金)より多くなっていた場合、今後の予定に応じて財布(2)財布(3)に振り分けていきます。
このような管理をすると財布(1)はほぼ一定、財布(2)は状況に応じて増減、財布(3)はどんどん膨らんでいきます。
財布(1)財布(2)が価格変動から日常の生活や計画を守る一方、財布(3)が資産全体の利回りを押し上げていきます。


とてもシンプルですが、『儲かった、損した』ではなく、『資産を殖やす』ためにとても効果的な方法です。是非試してみてはいかがでしょうか?
次回は財布(3)の中身の決め方について考えていきます。

当コラムは、投資に対する考え方を示したものであり、具体的な投資商品の購入や売却を推奨するものではありません。実際のご投資に当たってはご自身のご判断でされるようお願いいたします。また、当コラムに記載されている情報の正確性についてはできる限り万全をつくしていますが、その正確性を保証するものではありません。個別の投資商品については別途詳細を記載した資料(目論見書等)をご覧ください。


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