2007/11/26 株価暴落時の対応 |
株価暴落時の対応 中澤 宏紀氏 (株)アセットマネジメント・ラボラトリー 代表取締役 |
下の表は日本とアメリカの株式市場の最近の株価の推移について表したものです。 両市場ともアメリカのサブプライムローン問題の広がりを懸念して大幅な下落がありました。 例えば日経平均に連動するファンドを7月7日に購入した投資家は、およそ3ヶ月の間に資産を約17%も減らしてしまったわけです。 特に11月に入ってからは1日から13日まで9営業日連続の下げとなりました。 同時に円高も進行しドル投資をしていた投資家は短期間で痛手を被りました。 |
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※2007年11月19現在の数字を参考にしております。 |
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投資を始めた方、あるいはこれから投資を始めることを検討されている方の中にはこの状況を見て、しり込みをしてしまった方もいるかもしれません。
今回は時間を使って無理なく資産形成をする過程では避けられないこのような大きな価格の下落にどのように対応するかを考えてみたいと思います。 |
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暴落の理由は何か、回復の見込みは?などが報道されますがあまり惑わされないことが大切です。 ことが起こった後で理由をもっともらしく解説していますが、本当にお金を殖やす、という観点からはほとんど意味はないでしょう。 そのようなことが事前にわかっていれば、暴落は起きませんし、そもそもニュースにもならないでしょう。 回復の見込みについても同様です。 暴落することがわからなかったのに、今後の予想が当たると考えることの方が無理がありますよね。
『世界同時株安』、『○年以来の下げ幅』、『史上○番目の下落率』などの見出しが並びますが冷静に対処しましょう。 よく見てみるとこのようなことは度々起こっているのがわかります。 最近でも、ブラックマンデー、ロシア危機、ITバブルの崩壊、同時多発テロ、イラク戦争、ライブドアショック、ソニーショックなど、大きな価格の変動になった出来事は沢山ありました。 さて、ここからはご自身(お客様)のポートフォリオの確認です。
まずチェックが必要なのは、そもそも何に投資をしているのかを確認することです。 今回の例で言えば、サブプライムローンの証券化商品やそれらを組入れているような商品であれば対応が必要です。 仮にそのような商品でなければ(例えば世界中の株式や債券に幅広く分散投資をするような投資信託など)、慌てる必要はありません。 様々なニュースに市場は影響を受けますが、幅広く多様な資産に分散投資をしているのであれば基本的には時間が解決します。
定期的にモニタリングをして、投資期間に合わせたポートフォリオ管理をしていればまったく問題はないのですが、ポートフォリオの全部又は一部を取り崩す予定が近々あるような場合は価格にかかわらず換金を考えます。 換金を考えている方は、『そのうち戻るだろう』、『もう少し高くなったら売ろう』、などと考えがちですが、かならずしも投資家にとって都合のよい値動きをするとは限りません。 そのような判断は逆に危険です。90年代の日本のバブル崩壊では10年以上も下落が続きました。 予想や期待に立脚した投資は控えるべきです。回復するまで十分に時間をかけられるなら問題ありません。
ポートフォリオを構築する際には、(4)の投資期間と同様に受け入れられる(我慢できる)価格変動の幅を想定しているはずです。 例えば株式100%のポートフォリオであれば年間およそ30〜40%程度の価格変動は想定済みです。 この幅が大きすぎると感じる場合は価格変動の少ない資産(例えば債券など)を組合せてポートフォリオ全体の価格変動の幅を調整します。 このようにして決めた価格変動の幅がゴルフにたとえるとフェアウェイというわけです。 ボールが自分自身にとって無理のないフェアウェイにあるかどうか確認しましょう。 また、価格変動こそがリターンを生み出す源泉であることを思い出しましょう。
上記(3)・(4)に問題がなければ買い増しを検討しましょう。値下がりしているときはもっと下がるような気がして、なかなか買い増しができないものですが、冷静に考えれば高いときに買うより、安くなったときに買ったほうが良いことは誰でもわかります。
値下がりをしているときに買い増しをするのは心理的に抵抗があるものですが、このように配分で管理をしていれば比較的容易に買い増しをすることができます。
ライフプランや投資可能期間をベースにした資金管理をして、上記のように対応をすれば今回のような暴落があっても慌てて売却することもないでしょう。また、このような価格の変動を避けることを考えるより、価格の変動が利益の源泉であることを理解し、それを受け入れてしまえば資産運用はもっと簡単になるかもしれません。 このような株価下落時こそ、我々アドバイザーの存在価値が問われる場面です。積極的に顧客にコンタクトを取ることにより信頼を獲得するチャンスです。また、顧客にとってもパフォーマンスを上げるチャンスでもあります。 |
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