2008/2/22 ライフプランナーのための"差別化できる資産運用の豆知識"
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〜 ライフプランナーのための"差別化できる資産運用の豆知識" (4)〜
銀行や証券会社が顧客に言えない資産運用の真実
金融市場の総和(Σ)で考えれば、
資産運用はプラスが期待できる 「フリーランチ」である(1)
梅本 洋一氏 (株)リスクマネジメント・ラボラトリー


こんにちは、リスクマネジメント・ラボラトリーの梅本です。

今回からは資産運用における「フリーランチ(ただ飯)」についてご紹介します。

ところで前回までは、なぜ「ノイズ(雑音)」が役に立たないのか、 “はやりの金融商品や投資機会”などの「ノイズ」を無視して運用 すること、つまり予め徹底的に分散投資して長期保有することが 投資家にとっていかに有益かについて、歴史を振り返りました。

では なぜ「ノイズ」を無視して分散長期投資することで専門家がひそかに 「フリーランチ(ただ飯)」と呼ぶ投資成果を期待できるのか、その原理 について考えてみたいと思います。

梅本
最初に断っておかないといけないのは、このような原理についての考察は私どもにとっても非常にチャレンジングなものであるということです。
なぜなら、資産運用の「フリーランチ」が未来永劫約束されているかについては、いかなる投資理論も実証データも説明していないからです。
もしも、資産運用の「フリーランチ」が未来永劫続くことが証明できたとすれば、それはノーベル経済学賞受賞にも値することなのです。
したがって、この考察は過去から現在まで「フリーランチ」を成り立たせてきた原理について、わかりやすい解釈を試みたものであり、今後もこの原理が有効かどうかの判断は個々の投資家に委ねられます。


  資本主義経済はお金を殖やすことを奨励している?

資本主義経済では私有財産や営利事業が当然の権利として認められています。このことは、資産運用や事業でお金を殖やすことを奨励しているとはいえないでしょうか。
現在、途上国も含めた資本主義経済が世界の富のほとんどを生み出しているのがわかります。世界経済(株式・債券市場全体)への投資は大きく報われてきました。

●世界経済のシェア

全世界合計
 
100%
先進国
アメリカ
日本
EU
アジア(除く中国)
79.5%
途上国
中国・インド
中南米
アフリカ
17.7%
市場経済移行国
ロシア、中・東欧諸国など
0.7%
世界経済シェアは世界経済白書平成12年度より名目GDPの比率を計算

●世界経済への100ドルの投資効果(1899年末〜1999年末)
 
1899年末
1999年末
投資効果
世界債券
100
7,800
78倍
世界株式
100
697,900
6,979倍
『証券市場の真実』エルロイ・ディムソン、ポール・マーシュ、マイク・ストーントン(著)より



  資産運用や事業でお金を殖やすこと認めなかった共産主義経済の破綻

一方、大国のソ連消滅やベルリンの壁崩壊等、共産主義経済国家のほとんどは、経済破綻を引き金に市場経済に移行しました。中国などは共産主義国家でありながら、いち早く私有財産、営利事業、株式市場を認めることで市場原理を採用し、現在の著しい経済発展の基礎を築いたのでした。

●現在までに計画経済から市場経済に移行した国家
市場経済移行国家
ロシアなど旧ソ連15ヵ国、ポーランド、旧東ドイツ、チェコスロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、ユーゴスラビア、アルバニア、スロヴァキア、エストニア、モンゴルなど
市場経済を活用する共産国
中国、ベトナム、ラオスなど
残っている計画経済国家
北朝鮮、キューバ


●資本主義と共産主義の経済原理の違い

 
共産主義経済
資本主義経済
財産を持つ・殖やす権利
認めない
認めている
事業で儲ける権利
認めない
認めている
資本の配分
国家計画
市場原理・競争原理
利益の配分
国家計画
市場・事業の成果


つまり、共産主義経済は民間が利益を追求することを認めていないのに対し、そもそも、資本主義経済は自由に資産運用や事業でお金を殖やすことを奨励している経済といえます。
 「今後も資本主義市場経済は、お金を殖やすことを奨励し続けると思いますか?」
 
上の質問に対する皆さんの答えは何ですか?答えが「YES」であれば、資産運用の「フリーランチ」を手にすることが出来るかもしれません。実のところ、私どものクライアントに対する投資アドバイスは、資産運用の「フリーランチ」を成り立たせている市場経済が今後も機能し続けるという信念によって支えられています。

このような資本主義経済の成果が期待できるのは市場全体、総和(Σ)についてであって、必ずしも厳しい競争、淘汰にさらされる個々の経済活動、資産運用の成功を保証するわけではありません。ですから、徹底的な分散投資と長期保有が有効であると考えるのです。
また、このことは総和(Σ)が必ずマイナスである宝くじ、パチンコ、競馬等のギャンブルと、正しい投資とが全く異質なものであると考えられる根拠でもあります。

もちろん、資産運用の「フリーランチ」が未来永劫約束されているかについては、いかなる投資理論も実証データも説明しているわけではありません。しかしながら、「フリーランチ」が成り立たないとすると現実の経済や金融の存在を上手く説明できなくなることも事実なのです。




  資産運用の「フリーランチ(ただ飯)」って知っていますか?

今度も皆さんのクライアントや見込み客に聞いてみてください。その背景を今回ご紹介したような身近で常識的な事例でお話すれば、ほとんどの方は「フリーランチって初めて聞いた」「変ったこと言うね」「言われてみれば、なるほどそうかもしれない」といっていただけます。クライアントや見込み客にたいする運用商品説明や信頼醸成の切り口として活用してください。
次回は、さらに、このような「フリーランチ」を成り立たせている原理原則について探って見たいと思います。



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