2008/3/24 第4回 「不動産売却と保険提案」
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第4回 「不動産売却と保険提案」
大城 嗣博氏 アセットコンサルティングネットワーク(有)代表取締役


こんにちは、アセットコンサルティングネットワーク(有)代表取締役の大城です。

一時払い保険料の捻出に際して効率的な手法の1つに保有不動産の「売却」があります。

大城
 

 
図1
図2
  この売却に関しては、宅建やFP等の試験勉強で「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」という売却依頼方法が論点とされています。また、不動産業者の営業トークですが、「一般媒介では複数業者が仲介するため広告費予算をかけにくいが、専任媒介では業者として広告費予算がかけ易いので成約に至り易い」とも言われています。

  ただし実務上ではこれら売却依頼の形態よりも、仲介にあたる不動産業者が、売主の仲介か買主の仲介か、もしくは双方の仲介かという点が重要ポイントとなります。

 不動産の売却では売主側仲介を「元付」、買主側仲介を「客付」と呼びます(図1)。取引の中には図2のように「元付」「客付」を1社で行うケースもよく見受けられますが、このようなケースで仲介業者は誰のメリットを追求し取引にあたるのでしょうか。


  このようなケースで「業者は売主・買主双方から手数料を受けるため中立な立場である」というのは非現実的と言わざるを得ません。何故なら仲介業者は「最高値での売却」よりも「自社の買主での成約」が第1命題となり易いからです。

 
図3

 さらに買主が建売業者等の場合には、土地購入後に建物を建築しエンドユーザーに再度売却することになります。この買主(転売主)は素地情報が命なので建売後の仲介も素地情報元の会社に任せる事がよくあり、このような物件を情報未公開物件として仲介し手数料を再度受取る不動産業者も少なくありません。本来、もっと高値で売却することができて保険料も捻出できるはずが、売主の滅失利益という犠牲の元で転売者と仲介業者の利益に転化されてしまう訳です。

  実際にRML関係のLPさんから受けた相談でも、信託銀行系の不動産会社から受けていた図3のような売却提案を直前で止めさせて、相談者にとっての適正な売却手法を提案した事例が有りました。

 
図4

  ただしマンション用地や地上げ物件などではマイホーム売却とは異なり、利益を目論む関係者が多数となって円滑な取引が阻害されることも有ります。先日弊社で仲介した例で、1件のマンション素地を仲介するにあたって、購入者側の自称仲介者と言う方々が6者登場しました(図4)。

このような事例では売主・買主の事実が正確に伝わらなかったり、自称仲介者の思惑などで情報が錯綜し取引が成立しない事もあるので、安全・確実な取引を達成するためには、事案によって敢えて仲介者を1者で仕切るケースも有ります。


  結論的には、金額・時期・確実性などの売却目的と判断基準を明確にし最適な売却方法を選択する事が、売主にとって最重要ポイントと言えます。このアドバイスが顧客満足に繋がりますし、さらに高額の一時払保険料の捻出にも直結するため、顧客にとっても皆様にとっても最善の手法と言えるのです。

  実務上で皆様の連携している不動産会社は、売主の利益のために「最高値での売却」を追求していらっしゃいますか?一度確認してみると良いでしょう。



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