2008/10/24 マーケットの急変にどう考え、どう対応したらよいか
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マーケットの急変にどう考え、どう対応したらよいか
中澤 宏紀氏 (株)リスクマネジメント・ラボラトリー 代表取締役



株式市場の大幅な下落、為替の大幅な円高、これによりお客様に提案した変額商品、外貨建商品などはかつて見たことがないようなマイナスになっていると思います。また、私たちが提案・販売していなくても銀行や証券会社で投資信託や変額年金を購入して、それがどうなってしまうのか心配しているお客様は沢山いらっしゃると思います。
この様な時、私たちはどのように対応したらよいのでしょうか。


1 まずはコンタクトをとる

販売をした商品の成績が悪い時は電話をしたくないものですが、このような時こそコンタクトを取るべきときです。クライアントはニュースなどを見ていますし、運用報告書も送られてきていますからご自身がお持ちの商品がどのような状態かは予想がついています。
価格変動を理解して購入しているのであれば、それ自体が問題になることはありません。どんなに価格が下がっていても連絡をすることにより信頼され、感謝されます。

反対から見るとこのような時はチャンスでもあります。他の金融機関で購入しているが十分な対応や情報を得ていないお客様が沢山いらっしゃるわけです。既契約者のなかで他の金融機関から変額年金・投資信託・外貨建商品を購入している方は勿論、見込み客にも連絡しましょう。


2 価格変動のメカニズムを知る

株式でも為替でも最近のように大きな値動きが続くと、どうしてもその値動きだけに目が行きがちですが、このようなときこそ原点に立ち返る必要があります。

例えばトヨタ自動車は昨期、約1兆円の利益を出しています。時価総額は約11兆円(10月10日現在)です。
つまり11兆円あればトヨタのオーナーになることができ、毎年1兆円の儲けが得られるわけです。利益のすべてがキャッシュではありませんが投資に対しての利回りは約9%、約10年強で投資金額を全額回収できるわけなのでまずまずなのではないでしょうか?

ところが株価は下げ止まる気配を見せません。

第一の理由は、株式市場がパニック状態なのでとにかく値動きがあるものは手放したい、という心理的な理由です。

第二の理由は、昨期は1兆円の利益がでたが、来期は厳しいだろう、という予想をマーケットがしている、ということです。

将来の利益予想と株価の水準がいつかは必ず『お買い得』な水準になるはずですから永遠に値下がりを続けるということはないわけです。一方、為替や商品のようにそれ自体がキャッシュフローを生まない資産の場合はまったく異なるメカニズムで価格が動きます。


3 金利の力

1971年以前の円・ドルの為替レートは1ドル=360円でした。それが30年以上たった今、1ドル=100円の円高になりました。
つまり、当時1万ドル=360万円が、同じ1万ドル=100万円と大幅なマイナスになったわけです。
しかしながら71年当時に1万ドルでアメリカ国債を購入して30年保有していたらどうなっていたでしょうか?当時のアメリカの30年国債の利回りは約10%。10%で30年運用していたら約17倍になっています。
つまり1万ドルが17万ドルに、これを1ドル=100円で換算すれば1700万円になります。
360万円が1700万円と4.7倍になったのです。勿論、『だからドルがいいですよ』、ということではありません。

インフレに比べてどうだったのか、他の選択肢はなかったのか、など検討すべきことはありますが、ここでお伝えしたいのは金利というキャッシュフローが生まれるとこれだけの円高になったとしても時間の中で何とかなるということです。


マーケットに変動はつきものです。このような変動が将来の利益の源泉です。今回のような大きな変動を乗り切るためには確固としたアドバイスポリシーが必要となります。
お客様の気持ちも揺らいでいます。勇気をもってクライアントとコンタクトを取り判断の基準を提示することが信頼の獲得につながると思います。

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