2006/11/24 生保営業管理職の仕事
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生保営業管理職の仕事
垣花 元氏 元(株)セールスエデュケーションラボラトリー取締役副社長


RMLメルマガを配信させていただいている皆様の中には、営業管理(マネージャー)職の方も相当数いらっしゃいます。また、現在はセールスパーソンですが営業管理職を目指している方も大勢いらっしゃるでしょう。私は、生保業界でセールスパーソン・営業管理職・営業教育トレーナーを経験してきましたが、それぞれの“職種”の視点を通して見た「生保営業管理職の仕事」を今回のコラムではお話したいと思います。

生保営業管理(マネージャー)職の仕事とは
さて、「マネージャー職の仕事とは?」といった根本的なテーマから考えてみたいと思います。まず、保険セールスパーソンの仕事とは何かと考えた時、答えは実にシンプルです。それは、「保険を売ること」にほかなりません。では、そのマネージャーの役割とは何かというと、「セールスパーソンの指導育成」「セールスパーソンの活動管理」「優秀な人材のリクルート・スカウト」「セールスパーソンのモチベーションのアップ・維持」「営業目標達成」等々と、数え上げたらきりがありません。もちろんそれらは、非常に重要で必要不可欠な業務であることは間違いありませんが「生保セールスパーソンの仕事=生保販売」と同じように、マネージャーの仕事を一言表現するのならばどうなるでしょうか?

私は、この質問をマネージャー対象の研修・講演で必ず受講者にしているのですが、明確にお答えになる方はまずいらっしゃいません。私はこう考えています。マネージャー職の仕事を一言で表現すると、ずばり『保険業を売ること』なのではないでしょうか?

このことを講演等でお話しすると『保険業を売る???』といった反応がほとんどなのですが、『営業とは、お客様の抱えている問題の解決方法・手段として商材を販売すること』だと定義付けするなら、マネージャー職の仕事は常に『セールスパーソンが抱えている営業の問題点を解決する』手段としてマネージャー力を提供することになります。『マネージャーによって自分が抱えている問題が解決した!』となるとセールスパーソンは常にモチベーションを高い位置で維持し、活動量が増え、結果生産性が高まります。つまり、活動管理・同行販売・ロールプレイ・モチベーションアップといった日々のマネジメント業務の全ては、セールスパーソンの抱える営業面での問題点を解決するためにあるのだと、明確な目的意識を持つことが非常に重要になります。

『お客様の抱える問題点が保険という商材を販売したことによって解決する』ことで、お客様は“購買”そのものに満足感を覚え、結果そのセールスに対して感謝します。同じように、『セールスパーソンの抱える営業面での問題点がマネージャーによって解決した』となると、セールスパーソンはマネージャーに感謝することは間違いありません。

このことを私は、『マネージャーの仕事とは、保険業を売ること』というフレーズで表現しているのです。セールスパーソンがマネージャーに常に感謝するという構造のマネジメントスタイルこそが、お客様、セールスパーソン、マネージャーのWIN・WIN・WINにつながり、結果、高生産性の営業チームを生み出すと考えます。

一般的な日本のマネジメントスタイルと欧米のマネジメントスタイルの違い

私は、2002年〜2005年までの4年間、世界でもナンバーワンといわれる生産性を誇る米国の生保会社ノースウエスタンミューチュアル社の採用している顧客管理システム『ワンカードシステム』の創始者に師事し、そのシステムの研修講師を務めてきました。

その経験の中で一番の発見は何かといいますと、日本のマネジメントスタイルと欧米のマネジメントスタイルの違いです。日本における営業のマネジメントスタイルは概ね、『根性論・精神論』での指導育成が主流ではないでしょうか?つまり営業で悩んでいるセールスパーソンに対して、『とにかく訪問件数を増やせ!』『もっとお客との信頼関係を深めろ!』『一日○件訪問しろ!』『お客様が興味を持つように話すんだ!』もっというと、『根性が足りない!足で稼げ!』『とにかく頑張れ!結果はついてくる!』等々(私も以前こういうスタイルでした(苦笑&反省)。これを“チアリーダー型”マネージャーとよびます。この『フレーフレー、頑張れ!頑張れ!』型で、成績で悩んでいるセールスパーソンの問題を解決できるのでしょうか?苦しんでいるセールスパーソンは『どうやったら訪問件数を増やせるのか』『どうやったら信頼が深まるのか』『どうやったらお客様に興味を持って話を聞いてもらえるのか』といった、“具体的HOW”の部分を知りたいのではないでしょうか。

“チアリーダー型”と対極にあるのが、“コーチング型”といわれる欧米のマネジメントスタイルです。『統計によると○件電話したら○件アポが取れるから、あと何件電話できる先を見つけましょう。その具体的方法は・・・』『信頼を深めるには、こういったロジックでこの流れで話せば、行動心理学的観点からも最も効果的なので、このシナリオで・・』『興味をもって話を聞いてもらうためには、この営業技術を使って話しましょう』と。つまり、非常に具体的で、科学的にも心理学的にも裏づけがあるやり方を教示されたならば、セールスパーソンはマネージャーからのこれらのアドバイスをすんなりと納得感を持って受け入れるのです。こうした考え方で日々セールスパーソンを育成していくとセールスパーソンとの人間関係も非常に円滑になります。なぜなら、セールスパーソンが1番欲しいと思っている『解決策』をまさしく“売って”いるのですから。



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