2009/3/30 不況の影響とクリニックの経営状況
メルマガアーカイブTOPに戻る



不況の影響とクリニックの経営状況
松野 亮氏 CSアカウンティング株式会社
経営企画室事業開発 グループリーダー


今回は、不況の影響と診療所の経営状況に関する話になります。
開業医の先生方に対する信頼醸成のためのネタとして、「最近他のクリニックの状況はどうなの?」と聞かれたときに是非ご活用ください。


医療サービスは、景気変動とは関係ないと思われがちですが、そんなことはありません。立地やビジネスモデルによって大きな影響を受け、売上が落ちてきているクリニックも出てきています。
売上=単価×数量とは、一般事業会社でよく言われていることですが、数量−つまり外来患者数の減少によって影響が出てきているクリニックが増えてきています。ここのところの景気の悪化に伴って苦しんでいるクリニックは次のような特徴があります。

1.治療の緊急性が比較的低い診療科目のクリニック

治療の緊急性が低いクリニック(例えば皮膚科)への来院患者数が減ってきている傾向があります。
複数の皮膚科の開業医からは、複数の治療箇所(例えば顔の湿疹と足のイボ)がないと来院しない患者が増えているという話を良く聞くようになってきています。

2.周辺住民の所得水準が、比較的低いエリアのクリニック

周辺住民の所得水準は比較的低いエリアについては、外来患者数で苦戦しているようです。
特にメーカーの下請け工場が多く存在するようなエリアでは厳しさが増している感があります。
このような地域については、2週間分の薬を出しても4週間後に来院するといったことが度々起きており、来院患者数に大きな影響を与えています。
一方、一軒家が多く中間所得者層が多く住んでいる郊外エリアについては、不況の影響は全く聞かれません。

3.治療費が「高い」と噂されているクリニック

診療所に対する支払額は、治療行為ごとに診療報酬単価が決まっているため、同じ治療を受ければ金額は変わらないのですが、実際にはクリニックごとに提供する治療行為が異なるために結果として「高い」「安い」が出てきます。あそこのクリニックにかかると「高い」と言われる場合には、来院患者数が減少している傾向があります。
逆にクリニックへの支払がない場合には、不況の影響はまったくありません。クリニックに対する支払がない場合として、例えば東京23区の小児科が挙げられます。23区内では、こども医療費助成制度があり、子供が小児科にかかる場合には、窓口で支払をすることが原則ありません。このようなクリニックでは世間の市況とはまったく関係なく好調な状態が続いています。

逆に、不況下でも堅調な業績のクリニックの特徴としては、(1)発熱など緊急性が比較的高い患者を治療している (2)中堅所得層が多く住んでいるエリアで開業している (3)窓口負担金が安い(若しくは、ない)ということになります。

開業医はお互いに様々な情報交換をしていますが、経営状況については情報を交換する機会がありません。そのため、他のクリニックの経営状況はどうなっているのだろう?ということには高い関心がある方が多いように思います。

是非、このような旬な話題からドクターの信頼を獲得することにチャレンジしてみてください。



PAGE TOP