2010/3/23 《営業技術シリーズ》『疑問(後)』
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《営業技術シリーズ》『疑問(後)』
西川 昭信氏(株)セールスエデュケーション・ラボラトリー



こんにちは、セールスエデュケーション・ラボラトリーの西川です。

前回《疑問の技術》から相当期間が空いてしまいました。
前回は考え方や効果効用を説明するに留まり、具体的な技術論まで話が進みませんでしたが『疑問』という技術を考えるにあたり、欠かせないところですので、前回の内https://www.se-labo.jp="http://www.se-labo.jp/mail-mag/seiho/20091026/index.html" target="_blank">前回のトピックスを読んでから今回のトピックスを読んでみてください。


西川昭信

 

それでは前回の続き『疑問(後半)』です。

『疑問の技術』について使い方や効果を具体的に説明します。

前回、この技術は以下の2つに分類できるというところまでご説明しました。
(1) 直接疑問
(2) 間接疑問

(1) 直接疑問
お客様に直接、疑問を投げかける方法で一般的な表現で言えば『質問』に近いと思ってください。また、交互に発言をすることになるので、『会話型』と言うことも出来ます。

巷に出回っている『質問』に関する様々なノウハウ本では、質問をいろいろと分析、細分化して使い分けていますが、ここではそのような分類や分析はしません。

『人間は質問から逃れられない』という言葉があります。
どういうことかと言うと、
例えば、ご主人が自宅でテレビを見ている時に、横で奥様が近所で起こった小さな事件について一生懸命に話をしています。ところが、ご主人の反応は生返事ばかりで全く話を聞いていません。(決して我が家のことではありません。。。)
その時、奥様から突然「あなた、今年で何歳になるんだっけ?」と質問されたらどうなると思います?
ちゃんと答えるかどうかは、そのご夫婦の“仲良し度合い”にもよるでしょうが、仮に答えないとしても「ん?、オレって何歳になったんだっけ?」とか、「亭主の年齢ぐらい覚えておけよな!」とか、その質問に対して頭が働いてしまうのではないでしょうか?
これが、“質問から逃れられない”という意味であり、営業技術という側面から見た『質問』の価値なのです。

【説明型】
A:私はトイプードルという犬を飼っているのですが、とても可愛いんですよ。
B:そうですか。。。

【会話型】・・・直接疑問形式
A:私は犬を飼っているんですが、それがとても可愛いんですよ。
 何という犬だと思いますか?
B:えっ? あ、何という犬なんですか?
A:トイプードルという犬で、とても可愛いんですよ。

いかがですか?
会話型のほうが、私が飼っている犬は「トイプードル」という犬で、とても可愛いんだ、ということが印象付けられた感じがしますよね。

ただし、生保の営業では、質問は多用しないほうがいいと考えています。
無形でしかも潜在ニーズである生命保険営業の場合は、“答えがわかりきった”質問を連発するとお客様は営業サイドの誘導を感じてしまい、反発することが多くなります。
また、答えのよくわからない質問をすると、普段ほとんど考えたことの無い事柄だけにお客様は困惑し、口を閉ざしてしまうことも多いからです。
どちらに転んでも、あまりいい結果は得られません。

ですから、お客様の関心が話から遠ざかっているのを感じた時などに、ポン!とひとつ質問を入れるという使い方などが有効です。
この技術は1対1の営業の場面でも使いますが、特に1対多となるセミナーなどでたくさんの人の興味を一気に惹きつけなくてはならない時に効果的な技術です。

(2) 間接疑問
営業の場面では、一方的な説明になってしまうとお客様がどのように感じているかを捉えにくくなり、うまくいかなくなることが多くなります。
その意味で“会話形式”で進めるのがとても重要で、その代表的な技術が『質問』です。
ところが、前述のように生保営業という場面では、『質問』を多用すると“反発”や“困惑”が発生し、営業がうまくいかなくなることが増えます。
その時に、一方的に話しているにも関わらず、あたかも会話形式で営業を進めているかのように感じさせ、『質問』と同じ効果を発揮するのが『間接疑問』という技術です。

具体的なトークで考えてみましょう。

例えば、Aさんという人が“トイプードル”を飼っていて、それをBさんに自慢したいと思っているとします。

【説明型】
A:私はトイプードルという犬を飼っていて、とても可愛いんですよ。
B:そうですか。。。

【会話型】
A:私は犬を飼っているんですよ。
B:へぇ〜、どんな犬なんですか?
A:ええ、トイプードルといって、とても可愛いんですよ。

トイプードルという犬を飼っていることが印象に強く残っているのはどちらでしょう?
間違いなく『会話型』でしょう。
ただ、問題なのはBさんがこのようにAさんにとって都合の良い質問をしてくれるかどうかです。
特に潜在ニーズ営業と言われる生保では不可能と言ってもいいでしょう。

例えば、
A:世の中には一家の大黒柱を失って大変な思いをされているご家庭がたくさんあるんですよ。
B:何か救済方法はないんですか?
A:実は、お元気な時に生命保険に加入していれば何とかなるんですけどね。

いかがですか?
お客様がこのような質問をしてくれるなんて、有り得ないと思いませんか。

ところが、『間接疑問』という技術を使うとお客様の発言に左右されずに、この会話形式の構造で営業を進めることが可能になります。
『間接疑問』を具体的にトークで表してみると

【間接疑問】
A:私は犬を飼っているんですよ。
A:どんな犬なのかというと・・・
A:トイプードルといって、とても可愛いんですよ。

前述の会話形式と構造を比べてみると、
【会話形式】(A)(B)(A)
【間接疑問】(A)(A)(A)
となっています。

明らかに構造が違いますよね。
『間接疑問』の構造は、営業手法として最も効果が低い説明型と同じです。
ところが・・・
試しに、実際に上のトークを周りの人にでも、ゆっくりと話してもらってみてください。
「〜というと・・・」という表現をされた時に、頭の中で
「どんな犬なんだろうなぁ?」という疑問が浮かびませんでしたか?

仮に一瞬であっても頭の中にその疑問が浮かんだとすれば、
A:私は犬を飼っているんですよ。
A:どんな犬なのかというと・・・⇒B(頭の中):どんな犬なんだろう?
A:トイプードルといって、とても可愛いんですよ。

(A)(B)(A)の構造が出来上がったことになります。
つまり、お客様とリアルな会話はしていませんが、お客様の頭の中と会話をしているというイメージです。

また、『間接疑問』の代表例として「〜として・・・」という表現を紹介しましたが、応用例としては、“会話を止めてしまう”などという方法もあります。
言葉を途中で止めてしまうと、お客様は多くの場合「何?」と思います。
『間接疑問』の技術とは、お客様の頭の中に疑問を植え付けることなので、これだけでも十分です。

トークの仕組みとしては簡単なことなのですが、『間接疑問』の技術により、様々なメリットが発生します。
※ お客様に疑問を感じてもらってから、営業が説明したいことを説明するという構造になるので、お客様が興味を持って話を聞いてくれる
※ 営業がお客様に疑問を感じて欲しい部分を勝手に自分が話すので、常にシナリオ通りの安定した営業をすることが出来る
※ 基本的にお客様は話さないので、話が脱線することなく面談を予定通りの時間に終了させることが出来る(密度の濃いスケジュールを組める)
※ お客様が自ら疑問を感じているので、営業に誘導されている感じがしない

いかがでしょうか?
『疑問』という技術。
優秀な営業の方は、ほとんどの方がこの技術を使っていらっしゃいます。話がうまいと言われている方も同様です。(ご本人は技術と意識していない場合が圧倒的に多いですが)既に優れた営業センスでこの技術を使っていた方も、全く使えていなかった方も、これからは“技術”と意識的に使ってみてください。
営業の世界が激変すると思いますよ!


最後に、この技術を身に付けていただくためには“リズム”が重要です。
(疑問)→(答え)→(疑問)→(答え)→(疑問)→(答え)→・・・と続くリズム感を体が覚えてしまうとあらゆるトークに応用できるようになります。
リズム感を覚えるためには、この技術がちりばめられたトークをひとつでいいので、完璧に覚えて何度も口に出してみるといいようです。
ぜひ、当社のトークを手に入れて(当社主催のセミナーに参加してくださいということ?)挑戦してみてください。



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